■■ 所感 ■■
著者は商業界ゼミナールという会の創始者です。
「"店は客のためにある"という消費者主権と、"損得より先きに善悪を考えよう" という商業倫理を掲げ、一貫して正しい商人道と商業の近代化、即ち商業経営 の精神と技術を追求してきました」 ととあるサイトでは紹介されています。
内容として、少し古い感じのする部分はありますが、今こそ必要なことがたくさん 書いてある本です。
書いてある文章に鋭さは正直感じません。
しかし、すごくずっしりする言葉の数々です。
自分が耳障りのいい言葉を好んでいたことを感じました。
すごく原理・原則の、当たり前のことを書いてあるけど、21世紀になって忘れられて いるようなことが書いてあるように思います。
●消費者は単にモノを求めているのではない。モノと金との取引を越えて、 商人の「人間」を求めている。誠実な、正直な、暖かな人間の心を商人に求めている。
●繁昌とは、そこに「信頼」をプラスしなければ生まれないものなのである。 だから「商人である前に先ず人間であれ」と、わたしは言いたいのである。
⇒商いの基本は”人”。人こそ最高の商品なのだということを感じます。 「あなたから買いたい」「あなただからお願いする」 そういわれるような人間力を高めていきたいと思います。そのためには、車こすっても行動しかないんだなと感じます。
●専門店経営には、三つの経営原則がある。
第一は信用ある店が、
第二に信用ある商品を、
第三に納得できる価格とサービスで販売する事である。
他の店とたいして違わない品を、自信もなく、いい加減な価格とサービスで提供し続け てきた店が、 スーパーなどに圧倒されても別に不思議ではないとお客の方が知っているのだ。
⇒スーパーに圧倒されてしまうのは…お客がその”何故”を知っている。
お客は常に正しい、そして情報を発しているんだなと感じます。
自分も、自分の提案がなぜ伝わらないのか…
もっとお客が発している声を感じるようにしないといけないと感じました。
また、小売店だけでなく、不動産でもなんでも、もっとお客から指名されるようにしていかないといけないことを感じました。
●人間というものは、社会のために尽くす仕事をして居ればこそ、その報酬をとる権利があるのである。
自分の生活のためにするという考えでは、報酬(利益)を取るというのはおかしいとは
思わないか。
⇒まだ自分は自分の報酬のために働いてしまっていると反省です。
迎合してでも仕事をとれたらいいな…とお役に立つよりも、収入を考えてしまっていることがあることを恥ずかしく思いました。もっと誇りを持っていきたいと思います。
100ページほどの薄いけど、内容の濃い本です。
しかも500円!ぜひ読んでみてください
■■ 心に残った箇所 -本書より抜粋- ■■
●「店は客のためにある」というのは、商業の基本精神であり、小売業の根本的な使命を示したものである。
小売業の使命とは何か。それは地域の人々の暮らしを守り、暮らしを育て、社会文化の 発展に役立つことであり、これがビジネスとして機能してはじめて使命を果たしたと言えるのだ。
しかし「店は自分のためにある」と言っても同じことではないかという人もあるかもしれない。
だがこれは、根本から違っている。
「店は客のためにある」
というのは、お客の側から商売を考えるという哲学の発想である。
店を自己の利益追求の手段としてしか考えない発想では、お客も儲けも手段にしか過ぎない。
●「商いは高利を取らず、正直に、良きものを売れ、末は繁昌」という大村彦太郎という江戸商人の商訓だが、今日にも生きている。
●消費者は単にモノを求めているのではない。モノと金との取引を越えて、商人の「人間」を求めている。誠実な、正直な、暖かな人間の心を商人に求めている。
一人のお客の喜びのために誠実を尽くし、一人のお客の生活を守るために利害を忘れる
その、人間としての美しさこそ、小売店経営の姿としたい。
●新しい商売というものは、実に愛と真実と利益との、三位一体から成り立つ---とするのが、私の主張なのである。
この三つが合理的に具現してはじめて立派な商売が成り立ち、美しい商人が生まれると言いたいのである。
●商店の繁昌と言うことは、ただ一人のお客さまがくり返しくり返しお買い物にそのお店に買いにきてくださることの積み重ねにほかならないという簡単な事実を忘れている人が多い。
●繁昌とは、そこに「信頼」をプラスしなければ生まれないものなのである。だから「商人である前に先ず人間であれ」と、わたしは言いたいのである。
●小売店の本当の利益というものは、お客さまのために誠心誠意、孜々として尽くした時に流す心の汗が、滴滴としてしたたり落ちて結実したものでなければならない。
店の利益はいたずらに大きいから立派なのではない。その質の良さ、その生まれた時の様子によって価値が違うのである。
●「知ったことはやったことにはならぬ」と私はいつも言う。いつでも、どこでも、どんなことでも知って、正しい、善いと信じたら、果敢にやり抜くこと、それが本当に学ぶ(真似ぶ)の意味だからである。
●サービスが「おまけ」「割引」であるかのような考え方は、なにか特定のお客、一部の人、あるときだけにきたお客に対する割引、優遇、特別の待遇などを示すようだが、これらは決して本当のサービスではあり得ないのである。
(中略)
誰彼に差別はないが、お客がみな自分だけは特別に最高のサービスを受けていると思ってもらえるほど至れり尽くせりすることが、ほんもののサービスなのである。
●人間としての商人が、世の人々の幸せに合致する営みに徹し、その幸せが今日のみでなく明日の幸せにも通じるような精進努力に命を賭けるのを商魂という。
(中略)
飽くなき商魂のたくましさは、かかる性質の利潤を追って、私なき精神に見るべきなのである。
「大望小私」「小私大欲」(後略)
●世の中のために、君の店は存在した方がよいのか、無くても構わぬかを考えよう。無くても困らぬような店なら、存在の意義がないのである。
●店員を「君の協同者」と呼び、幅広い友愛こそ、美しく立派な人生を支える必須のものだと想っている。だから商売をする人に向かっては、なによりもさきにお客さまを友とせよ、「お客さま」という親友をつくれと叫び続けてきた。
君の商売を反省したり、率直な苦言を呈してくれたり、改善を提案したりするのに役に立つ友達を君は持っているか。
本当の友達は遊ぶときに必要なのではなく、正しく生きるときに最も大切なものなのである。
●専門店経営には、三つの経営原則がある。
第一は信用ある店が、
第二に信用ある商品を、
第三に納得できる価格とサービスで販売する事である。
他の店とたいして違わない品を、自信もなく、いい加減な価格とサービスで提供し続けてきた店が、
スーパーなどに圧倒されても別に不思議ではないとお客の方が知っているのだ。
●現代小売店の最大の欠陥の一つは、どの店も同じような品を並べ、同じような値段で、同じような売り方をしていることだ。
1、どこにでもある品とほとんど同じ品
2、どこでもやっている同じ売り方
3、どこの店に行っても同じような値段
4、どこの店も同じような店づくり
5、その上何をしたらよいか考えもしない
6、どうすることが正しいかさえ自覚していない
つまり、商品にも、経営にも、まったく個性がないことに気づいていないのである。この店だけの独自の方針や政策とか商品とかが、お客からは見えてこないのだ。
●店の大小よりも、自分の考えでお客がほんとうに求めている商品とサービスを店一杯にしようと言う努力を放棄してしまえば、それを「店」と呼ぶことさえも恥ずかしいということに気づかないのであろうか。
●人間というものは、社会のために尽くす仕事をして居ればこそ、その報酬をとる権利があるのである。自分の生活のためにするという考えでは、報酬(利益)を取るというのはおかしいとは思わないか。
●空費したら取り戻せないのが時間、いくら浪費しても減らないのが知恵。人生はこの「今」の連続に過ぎない。「今」こそが君の生涯を作るのである。
●此の一瞬の積み重ねこそ君の全生涯
●売れないことを不況のせいにするのは、よく売れる時代を自分の成果にする権利を放棄したことになる。
不況期にこそ、消費者に得をさせ、この店こそ私たちの店と信じられるようにするいちばんの好機なのである。
悩まなければ人間の魂は成長しない。不況に遭わない店には、永遠に大成はない。艱難が人を磨くように、不況は商人をきたえる。
●「正しきに依りて滅ぶる店あらば滅びてもよし 断じて滅ばず」この歌は、もともと幕末の志士の平田篤胤が作ったものから借りたもの(後略)
●私に言わせると、ほんとうの広告とは、商人が消費者に向かって、このお店でお求めなさい、
この品をお買いなさいと必ずしも言わなくとも、「これがあなたにとって一番有利で、便利で、決してご損がない、あなたの生活を幸福にする最もいいことなのですョ」と、親切に誠実に、専門家としての立場で知らせて差し上げる世の中に対する善行なのです。
●巨大なのが立派でも、巨大だから強力なのでもない。
何百年も前から、日本人が読み書きの教科書としてきた『実語教』の第一行は、実に
「山高きを以って貴しとせず」という言葉から始まっていたことを思わなければいけまい。
●商売十訓
一、損得より先に善悪を考えよう
二、創意を尊びつつ良い事は真似ろ
三、お客に有利な商いを毎日続けろ
四、愛と真実で適正利潤を確保せよ
五、欠損は社会の為にも不善と悟れ
六、お互いに知恵と力を合わせて働け
七、店の発展を社会の幸福と信ぜよ
八、公正で公平な社会的活動を行え
九、文化のために経営を合理化せよ
十、正しく生きる商人に誇りを持て
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